頼豪阿闍梨絵巻

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ライセンスURI https://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/da/page/license1
所有機関等 広島大学
タイトル 頼豪阿闍梨絵巻
タイトルヨミ ライゴウアジャリエマキ
著者 [作者未詳]
物理サイズ 1巻;
装丁 巻物
写刊区分 写本
所在 広島大学図書館
コレクション 奈良絵本 室町時代物語
説明1 [あらすじ] 叡山第26代座主院源、暹賀・聖教兄弟、大僧正良真、桓舜僧都と、それに関わる山王霊験記
説明2 [解題]巻子本。一巻。組紐付き。箱入り。表紙は、藍色、唐草模様の絹の布表紙だが、損傷が激しい。料紙は、楮交じり斐紙。奥書は無く、書写者・書写年次ともに不明。内題、外題共に無く、登録書名は、箱に二箇所「頼豪阿闍梨絵巻」と墨書されているのに依る。『国書総目録』も、「頼豪阿闍梨絵巻 らいごうあじやりえまき 一軸 絵巻 広島大」として掲出するが、実際は、日吉山王の利生霊験説話を集めた『山王霊験記』の一つ。当該本は、久保惣記念美術館本(二巻・重要文化財)、生源寺本(一巻・重要文化財)等合計五巻(本来は十五巻と推定される)が現存する一連の絵巻の内、頴川美術館本(一巻・重要文化財)とほぼ同内容と思しい。内容は、叡山第26代座主院源、暹賀・聖教兄弟、大僧正良真、桓舜僧都と、それに関わる山王霊験を記したもので、各段末尾には、本文に相応する絵が都合五箇所みえる。稿者は、頴川美術館本については未見だが、「続日本絵巻大成12」所収『山王霊験記 地蔵菩薩霊験記』(中央公論社 昭和59年)小松茂美氏解説掲載の頴川美術館本第一段図版は、当該本第一段の絵とほぼ同一のものと思しい。また、小松氏解説が紹介する、頴川美術館本格段巻頭にみえる了佐(1582~1662)による筆者鑑定の極札の文言「一条殿兼良公」(一段)、「東山同朋能阿弥」(二段)、「金阿弥」(三段・四段)、「若州衆井上能登守忠英」(五段)が、当該本にもほぼ同文としてみえる。さらに、小松氏前掲解説に紹介される如く、頴川美術館本については、住吉如慶(1599~1670)の手による模本の存在が知られており(現在東京国立博物館所蔵)、当該本についても、頴川美術館本の模本である可能性が高い。なお、小松氏は、東京国立博物館所蔵模本について、「詞書を省略して、軽妙な筆致で画面だけを略描している。ところどころに、淡彩を加えるが、ほとんど白描に近い」と指摘されるが、当該本が頴川美術館本をどの程度まで厳密に模写しているのか、また、如慶模写本との位置付けといった点は後考を俟ちたい。また、当該本の詞書に関して、筆跡によって、第一段、第二段と第五段、第三段と第四段とに、大別されることを付言しておく。
参考文献
近藤喜博校「古典文庫」『中世神仏説話 続』(昭和30年)所収『山王絵詞』(妙法院本)/小松茂美氏解説「続日本絵巻大成12」『山王霊験記 地蔵菩薩霊験記』(中央公論社 昭和59年)/小松茂美氏編集・解説「続日本の絵巻23」『山王霊験記 地蔵菩薩霊験記』(中央公論社 平成4年)
資料番号 大国681,文理3245