はちかつき

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ライセンスURI https://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/da/page/license1
所有機関等 広島大学
タイトル はちかつき
タイトルヨミ ハチカツキ
著者 [作者未詳]
出版年 [出版年未詳]
巻号
物理サイズ 3冊; 縦30.35cm×横22.5cm
装丁 和装
写刊区分 写本
所在 広島大学図書館
コレクション 奈良絵本 室町時代物語
説明1 上・中・下三冊、箱入。うち下巻は題簽が剥落している。特大本。料紙は、金泥で諸処に秋草等を描いた鳥の子紙を使用。表紙は、灰色がかった地の紙が露出しており、素朴な雰囲気であるが、薄い茶褐色の布片が多数付着しており、元来は布地張りであったことを窺わせる。奥書はなく、書写者・書写年代は不明。書写段階では挿絵も計画されながら、叶わなかったらしく、数丁ごとに、空白の面が残されたままになっている。
[あらすじ] 備中守実高の妻は、死際にその姫の頭に鉢を被せる。継母に捨てられた姫は、宰相に求婚され、脱げた鉢から宝物が出てきて宰相の妻となる。のちに姫は、出家した実高と長谷寺で再会する
説明2 [解説]数ある御伽草子の中で、もっとも有名な話の一つ。申し子譚と継子譚、二つの話型を具備しており、類話も多い。民間伝承の昔話を草子化したものと見るのが一般的であるが、直接の典拠は明らかでなく、昔話「姥皮」によったとする説(松本隆信)、「姥皮」型の類話からモチーフを抽出したとする説(『日本昔話大成』)がある。しかし、一方で、草子化された文献は、口承の昔話に先立つものであるとする説もあり(黄地百合子)、先後は不明である。また、物語の舞台に近い大阪府寝屋川市では地元の伝説として伝わっており、成立事情ははっきりしていない。伝本は、御巫(みかんなぎ)本系統と、流布本系統とに大別され、広島大学蔵の2本は、いずれも流布本系統の本文をもつ。御巫本系統は、冒頭部で、はちかづきが長谷観音の申し子であることを長々と述べるのが特徴で、御巫清男氏旧蔵本のほか、奈良絵本数点が確認されるにとどまるが、流布本系統は、きわめて多くの本が残っており、広く読まれていたことが知られる。
参考文献
【テキスト】1日本古典文学全集『御伽草子集』(流布本系、市古氏蔵版本)/2日本古典文学大系『御伽草子』(流布本系、上野図書館蔵版本)/3『室町時代物語集』第三巻(流布本系、清水本/御巫本系、御巫本)/4『室町時代物語大成』第十巻(流布本系、赤木文庫本・寛永絵入本) ほか多数。
【研究文献】1市古貞次『中世小説の研究』(東京大学出版会、昭和30年)/2友久武文「『鉢かづき』の原話」(『中世文芸』9号、昭和 年12月)/3岡田啓助「『鉢かづき』成立についての一考察」(『和洋国文研究』2号、昭和39) ほか多数。
『鉢かづき』に関しては、典拠や成立事情、本文の問題など、さまざまな面から研究が進められており、テキスト・研究文献とも非常に多い。
資料番号 大国2204,文理7802