花世姫

ライセンス種類
このコンテンツは「パブリックドメイン」の条件で利用できます。詳細はリンク先をご確認ください。|Content is available under the terms of "Public Domain". Check the link for details.
ライセンスURI https://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/da/page/license1
所有機関等 広島大学
タイトル 花世姫
タイトルヨミ ハナヨノヒメ
著者 [作者未詳]
巻号
物理サイズ 2冊; 縦23cm× 横17cm; 挿絵: 下冊九丁分
装丁 和装
写刊区分 写本
所在 広島大学図書館
コレクション 奈良絵本 室町時代物語
説明1 半紙本。料紙は鳥の子紙で、金泥で草花模様が描かれている。表紙は、鶯色の布地に水色と金色で、花と唐草の模様を織り出している。外題題簽は「花世姫上」「花世姫下」と墨書。内題は「はな世の姫上」「はな世の姫中」「花よの姫下」。内題と装丁から、元は上中下三巻であったものを二冊に改装したものと指摘される。
[あらすじ] 継母に疎まれて山に捨てられた花世姫が、山姥の助けを得て中納言の三男宰相と結ばれ、一族が繁栄する物語。
説明2 [解説]本書は継子物の代表作で、同趣向の作品に『鉢かづき』『うばかは』がある。いずれも観音の霊験を説くものである。全国的に分布する昔話の姥皮型と呼ばれる継子譚を素材にしてなったものである。『鉢かづき』『うばかは』に較べて全体に詞章の潤色が多く、分量が増えている。申し子、山姥の様相、鬼がなま臭いということ、父との再会などの場面等は、新たな趣向であり、増幅した記事である。山姥の描写は昔話のものとよく似る。姫君が身をやつして火焚きになる趣向も継子譚の定型であり、女性と竈神信仰の関わりや、欧米のシンデレラ物語が想起されることも既に指摘されている。主な伝本は無刊記絵入版本三冊(赤木文庫旧蔵)と奈良絵本二冊(広島大学蔵本・写本)がある。赤木文庫蔵本と同版の本は天理図書館、東洋文庫、東北大学付属図書館にある。広島大学蔵本は現存する唯一の写本である。
参考文献
【テキスト】1、『室町時代物語集』第三(果園文庫蔵刊本)/2、岩波文庫『お伽草子』(東北大学蔵刊本)/3、『室町時代物語大成』第十(赤木文庫蔵刊本)
【研究文献】1、徳田和夫 『お伽草子事典』(東京堂出版 平成14年)/2、『日本古典文学大辞典』 岩波書店/3、松本隆信「民間説話系の室町時代物語―「鉢かづき」「伊豆箱根の本地」他―」 (『斯道文庫論集』7 昭和44年10月)/4、岡田啓助 「『花世の姫』と民間伝承」(『日本文学』26巻2号 昭和52年2月)/5、稲井ひとみ 「『花世の姫』についての一考察」(『愛文』22号 昭和61年9月)
資料番号 大国2502