女子国語読本 巻五

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所有機関等 広島大学
タイトル 女子国語読本 巻五
タイトルヨミ ジョシ コクゴ ドクホン
著者 吉田弥平(ヨシダ ヤヘイ), 小島政吉(コジマ マサキチ), 篠田利英(シノダ トシヒデ)
出版年 1902, 明治35年3月26日
出版者 金港堂書籍
出版地 東京
物理サイズ 23cm, 59丁
所在 広島大学図書館
コレクション 教科書コレクション
説明1 [時期]検定教科書期 1886(明治19年)~1902(明治35年) [学科]国語, 読本, 古文, 暗唱, 読み方, 書き取り [学校制度]旧制高等学校, 旧制高等女学校
説明2 [解題]『女子国語読本』は,明治35(1902)年3月に「改定再版」が検定合格して以来四半世紀以上にわたって使用され,大正14年(1925)までに19版の六訂まで版を重ねた明治後半を代表する高等女学校用の教科書である。「改定再版」の教材のほとんどは文語体であり口語体の使用は約一割にとどまる。
巻一冒頭の「例言」の編集方針には「当代の文士大家に嘱して起稿したるもの頗る多し」とあるが,男性知識人の作品を外として,安井てつ子「女子教育」(巻二),三輪田真佐子「家庭の紅蘭女子」(巻三)「楽しき家庭」(巻八),鳩山春子「婦人の三徳」(巻七)といった女性教育者の作品の積極的な採用が特徴的であり,彼女たちが作品で取り立てた理想の婦女のみならず,高等教育を受け指導的立場にある彼女たち自身も,ロールモデルとして意味づけられていることが言える。なお,最多採用は下田歌子の九作品で,「福引」「英国女塾の休暇」(巻一),「荻山直女」「牛乳配達夫の妻」(巻二),「雛遊嫁ごと」(巻三),「英国婦人の交際」(巻四),「泰西婦人の遊戯」(巻五),「香港」(巻六),「本邦の女徳」(巻九)を通し,大和心を重んじつつ西洋婦人なみの社交性と闊達さを備えた女性の育成が目指されている。
巻五,依田百川「孫子の書牘を読む」は夫に武勲をもたらす烈女「上毛野形名の妻」を称揚し,大和田建樹「兵士の妻」は夫の「戦死」を「ほまれ」と唄う。戦記「二十七八年の戦役」「平壌攻撃」を含め,日清戦争に材を得た教材の積極的な採用は,「国力」たる婦女の育成を期した当代の女子教育のねらいを反映したものと考えられる。(解題執筆:松岡 礼子)
参考文献
井上敏夫編. 国語教育史資料巻二教科書史. 東京法令, 1981
田坂文穂. 明治時代の国語科教育. 東洋館出版社, 1969
橋本暢夫. 中等学校国語科教材史研究. 溪水社, 2002
眞有澄香. 「読本」の研究:近代日本の女子教育. おうふう, 2005
資料番号 [登録ID]2000021601 [スリップ番号]30309 [請求記号]教科書文庫/3/810/42-1902/2000021601