doi : 10.15027/da75
はちかつき
| License |
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| License URI | https://dc.lib.hiroshima-u.ac.jp/da/page/license1 |
| Holder | 広島大学 |
| Title | はちかつき |
| Title pron. | ハチカツキ |
| Author | [作者未詳] |
| Publish year | [出版年未詳] |
| Vol./Num. | 下 |
| Physical size | 1冊(全3冊); 縦30.35cm×横22.5cm |
| Binding | 和装 |
| Printing | 写本 |
| Location | 広島大学図書館 |
| Collection | 奈良絵本 室町時代物語 |
| Description1 | 上・中・下三冊、箱入。うち下巻は題簽が剥落している。特大本。料紙は、金泥で諸処に秋草等を描いた鳥の子紙を使用。表紙は、灰色がかった地の紙が露出しており、素朴な雰囲気であるが、薄い茶褐色の布片が多数付着しており、元来は布地張りであったことを窺わせる。奥書はなく、書写者・書写年代は不明。書写段階では挿絵も計画されながら、叶わなかったらしく、数丁ごとに、空白の面が残されたままになっている。 [あらすじ] 備中守実高の妻は、死際にその姫の頭に鉢を被せる。継母に捨てられた姫は、宰相に求婚され、脱げた鉢から宝物が出てきて宰相の妻となる。のちに姫は、出家した実高と長谷寺で再会する |
| Description2 | [解説]数ある御伽草子の中で、もっとも有名な話の一つ。申し子譚と継子譚、二つの話型を具備しており、類話も多い。民間伝承の昔話を草子化したものと見るのが一般的であるが、直接の典拠は明らかでなく、昔話「姥皮」によったとする説(松本隆信)、「姥皮」型の類話からモチーフを抽出したとする説(『日本昔話大成』)がある。しかし、一方で、草子化された文献は、口承の昔話に先立つものであるとする説もあり(黄地百合子)、先後は不明である。また、物語の舞台に近い大阪府寝屋川市では地元の伝説として伝わっており、成立事情ははっきりしていない。伝本は、御巫(みかんなぎ)本系統と、流布本系統とに大別され、広島大学蔵の2本は、いずれも流布本系統の本文をもつ。御巫本系統は、冒頭部で、はちかづきが長谷観音の申し子であることを長々と述べるのが特徴で、御巫清男氏旧蔵本のほか、奈良絵本数点が確認されるにとどまるが、流布本系統は、きわめて多くの本が残っており、広く読まれていたことが知られる。 参考文献 【テキスト】1日本古典文学全集『御伽草子集』(流布本系、市古氏蔵版本)/2日本古典文学大系『御伽草子』(流布本系、上野図書館蔵版本)/3『室町時代物語集』第三巻(流布本系、清水本/御巫本系、御巫本)/4『室町時代物語大成』第十巻(流布本系、赤木文庫本・寛永絵入本) ほか多数。 【研究文献】1市古貞次『中世小説の研究』(東京大学出版会、昭和30年)/2友久武文「『鉢かづき』の原話」(『中世文芸』9号、昭和 年12月)/3岡田啓助「『鉢かづき』成立についての一考察」(『和洋国文研究』2号、昭和39) ほか多数。 『鉢かづき』に関しては、典拠や成立事情、本文の問題など、さまざまな面から研究が進められており、テキスト・研究文献とも非常に多い。 |
| Reprinting | [page 2]はちかつき下 さて、三人のよめこせんたちも、いまや〳〵とまち給ふ。また、しうとこせんおほせけるはいつくへもゆかすして。たゝいまはちをかくへき事のかなしさよ。なにしに、よめ合なとゝいはすとも、よきもあしきもしらぬていにてをくへきものをと仰ける。さるほとに、はちかつきをそしと、たひ〳〵つかひたちけれは、さいしやうとの聞召、たゝいまそれへまいるとおほせけれは、人々、みてわらはんとそじゝめきける。出させ [page 3] 給ふありさま、物によく〳〵たとふれは、ほのかにいてんとする月に、雲のかゝるふせいにて、御かほはせけたかく、いつくしく、御すかたは、春のはしめのいとさくらの、露のひまよりもほの見えて、朝日のうつろふふせゐにことならす。かすみのまゆすみほの〳〵お、せんけんたるりやうひんは秋のせみのはにたぐへ、えんてんたる御かほはせは、春は花にねたまれ、秋は月にそねたまれ給ふ御ふせゐ[ママ]いなり。御年のよはひ。十五六ほとに見えさせ給ふ。御しやうそくには、はたにはしろきねりのきぬ。うへにはからあや、こうはい、むらさき、いろ〳〵の御小袖。くれなゐのちしほの御はかまふみくゝみ、ひすいのかんさしゆりかけて、あゆませ給ふ御すかた、ひとへに、天人のやうかうもかくやとおもひしられけり。まちうけて見給ふ人々、みな〳〵めをおとろかし、けふさめておはしける。さいしやうとのの、御こゝろのうちのうれしさかき [page 4] りなし。去程に、御さしき一たんさかりてこしらへたる所に、なをらんとし給ふ時に、しうとさんみの中将との、いかて天人のやうかうを下座におくへきとて、しやうしさせ給ふ。あまりのいとおしきに、はゝこせんのひたりのひさもとへ、よひまいらせ給ひける。 [page 5] さて、しうと殿への御ひきて物には、しろかねのたいに、こかねのさかつきすへ、こがねにてつくりたるみつなりのたち花。こかね十りやう。からあや。おり物の御小袖三十かさね。からにしき十たん、まきゝぬ五十疋。ひろふたにつませ、まいらせらる。しうとめ御せんへの御ひきでものには、そめ物百たん。こかねのまるかせ。しろかねにてつくりたるけんほのなしのゑたをり、こかねのたいにすえへまいらせらるゝ。人々見て、みめかたち、いしやう、御ひきて物にいたるまて、まさりはすれとも人におとらすと、おとろかすはかりなり。三人のあによめ御せんたちをも、はしめはうつくしくおほしめしけれとも、このひめきみにあはすれは、ほとけの御まへに、あくま、げだうかいたるにことならす。兄子たちおほせけるは、いさやのそきてみんとて、のそきみたまへは、あたりもかゝやくほとのひしんなり。みな〳〵ふしきにおほし召 [page 6] て、なにと申へきことのはなし。やうきひ、りふじんも、これにはいかゝまさるヘき。とてもにんけんにむまれなは、かやうの人とこそ、一夜なりともちきり、おもひてにせんと、人々うらやみ給ひけり。さんみの中将とのおほしめしけるは、この程さいしやうの君たえいり、思ひつる事こそことはりなれとおほしめしける。さて、御さかつき参りけれは、しうとめ御せん聞召、やかて姫きみにさし給ふ。そのゝち、こん〳〵まはりけれは。三人のあによめ御せんたちたむかうあるやうは、みめは下らうによらぬなり。くわけんをはしめ、わこんをしらへさすへし。わこんは、ことに、そのみなもとを、しらせたれは、さうなくひかれぬ物なり。さいしやうとのは、そのみなもとをもあきらめたまへは、のちにはおしへ給ふとも。こん夜のうちには、おしえたまふ事なるヘきならねは、いさや、はしめんとて、あによめ御せんはひわのやく、次郎 [page 7] よめこはしやうをふき給ふ。とのうへはつゝみうち、ひめきみはわこん御しらへ候へとせめられける。その時、ひめきみおほせけるやうは、かやうの事は、いまた聞はしめにて候へは、すこしも存せす候と、御したい有。さいしやうとの御らんして、わか身をひめきみとみよかし。ゆきてひかんものをとおほしめしける。其時、姫きみ御こゝろのうちにおほすやうは、われをいやしきものと思ひ、かやうにしてわらはんためとおほしめし、われもむかし、はゝにかしつかれしときには、朝夕手なれしがくのみちなれは、ひこうす物とおほしめし、さらは、引て見申候はんとて、そはなるわこんひきよせ、三へんしらへ給ひける。さいしやうとの御覧して、うれしき事かきりなし。 [page 8] 御せんたち御らんして、哥をよみ、手かくことも、のちにはさいしやうとの御をしへ有へし。たゝいまのうちには、おしゆる事もなるまし。さらは哥をよませわらはんとたんかうなされ、これ御らんせよ、ひめきみ、さくらかえたに藤の花。春と夏とはとなり。秋はことさら菊の花。これにつき、ひめきみ、一しゆあそはし候へとおほせけれは、姫君きこしめし、あらむつかしの事をおほせ候ものかな。われ〳〵かのふには、このほとゆどのにさふらひてあさゆふ手なれしみつくるまくみあけしより、ほかの事はなし。うたといふ事はいかやう成物やらん。すこしもそんせす候。まつ〳〵御せんたちあそはされ候へ。そのゝちは、ともかくも申てみんとありけれは、御せんたちおほせけるは、ひめ君はけふの御きやくもしにてましませは、まつ〳〵一しゆあそはし候へとせめられける。そのときひめきみ、一しゆ、とりあへす [page 9] 春は花なつはたちはなあきはきく いつれの露におくものそうき と、かやうにあそはしける。御筆のすさひ、たうふうかふるひふてもかくやらんと、めをおとろかすはかりなり。人々是を見て、いかさま、この人はいにしへのたまものまへか、おそろしやなとゝ申。さるほとに、また御さかつきいてけれは、しうと御せんきこしめし、ひめきみに御さしありて、 [page 10] 御さかな申さんとて、わかしよりやう七百ちやうとは申せとも、ニ千三百ちやうの所なり。一千ちやうをは、ひめきみにまいらする。又一千ちやうをは、さいしやうのきみ、とらすへし。残る三百ちやうをは、三人の子ともにとらするなり。百ちやうつゝわけてとれ。是をふそくにおもふものあらは、おや共、子ともおもふへからすとおほせけれは、あにこたちきこしめし、あはぬことゝはおもへとも、きめいなれはちからなし。いまよりしてはさいしやうのきみを、そうりやうとおもふへしと、三人とうしんしたまひけり。さるほとに、ひめきみには、れんせいをはしめとして、ねうはうたちニ十四人つけ奉り、さいしやうとのゝすませたまふたけの御所へ、うつらせ給ふ。かくて、すきゆきけるほとに、ある時さいしやうとのおほせけるやうは、、いかさま、御身はたゝ人とはおもはぬなり。御名のり候へとありけれは、ありのまゝにかたらん [page 11] とはおはしめしけれとも、まゝはゝのなをたつるにやあたらんとおもひ、かれこれとりまきらかし、名乗たまはす。其後ひめきみは、はゝうへの御ほたひ、ねんころにとふらひ給ふ。かくてすきゆくほとに、きんたちあまたまふけ給ひて、御よろこひかきりなし。これにつけてもすてられしふるさとのちゝ御せんをこひしく、御きんたちも、見せまいらせたくおほしめしける。 [page 12] 去程に、ふる里のまゝはゝ御せんは、けんとんしやなるゆへに、めしつかはるゝ物も、かなたこなたへにけはしり、後にはまつしくなり、ひとりもちたるひめをも、とふ人もなし。御ふたりの中もあしく成けれは、まつしきすまひなにかせん。こゝろに残ることもなしとて、ちゝ御前は、いつくともしらす、しゆきやうにたち出給ふ。つく〳〵物をあんするに、さりにしきたのかた、子なきことをかなしみて、はせにまふて、さま〳〵いのり、くわんをんの御りしやうにより、ひめを一人まふけしに、はゝむなしくなりたまひてのち、あらぬかたはつきけるをふしきにおもひしに、おやならぬおやにて、おそろしや、いろ〳〵にさんそうをいひけるを、まことゝおもひ、いたしつることのふひんさよ。その身か、人のやうにもあらはこそ。いつくのうらにすみ、いかなるうきめをもみるらん。ふひんのものかなとおほしめし給ふ。さるほとに、ちゝ御せん、はせ [page 13] のくわんをんえ御まいりありて、はちかつきのひめ、いまたうき世に有ならは、いまひとたひ、めくりあはせてたひたまへと、かんたんをくたき、いのり給ひける。其後さいしやうとの、御かとの御意にいらせたまひ、みかとより、やまと、かわちいが、三ヶ国をくたされけれは、御よろこひのために、はせのくはんをんえ御まいりある。御いちもん、御きんたち、花をかさり、金きんをちりはめ、さゝめき給ふ。さるほとに、ひめきみのちゝ御せんは、くわんをんの御まへにねんしゆしてゐたまひけるを、とのはらともかこれを見て、御たうのうちかせはきとて、そこなるしゆきやうしや、あなたへしされとて、えんよりそとへおいゐたす。かたはらにたちより給ひ、きんたちを見奉り、さめ〳〵となき給ふ。人々是をみて、こゝなるしゆきやうしやは、いかなることをおもひなくそとといけれは、わかせんそ、ありのまゝにかたり、おそれなからこの御 [page 14] きんたち、わかたつぬるひめににさせたまふとのたまへは、ひめきみ聞召て、其しゆきやうしやこゝへよへとありけれは、えんのうへまてよひあけゝる。ひめきみ御らんして、御としより、おもやせたまへとも、さすかおや子の御事なれは、人めもはゝからす、これこそいにしへのはちかつきの姫にて候へとて、御いてありけれは、 [page 15] ちゝこせんきこしめし、これはゆめかやうつゝか。ひとへに、くわんをんの御りしやうなりとのたまひけれは、さいしやうとのきこしめし、さてはひめきみは、かわちのかた野の人にてましますか。されはこそ、たゝ人とはおもはぬものをとのたまひて、御きんたち一人と、ひめきみのちゝ御せんとをは、かはちのくにのぬしになしまいらせ、すへはんちやうにすませ給ふ。扨またさいしやうとのは、いがの国に御しよをつくらせ、しそんはんちやうにすませ給ひける。これたゝはせのくわんをんの御りしやうとそ聞えける。いまにいたるまて、くわんをんをしんし申せは、あらたに御りしやうありと申つたへ侍りける。このものかたりを聞人は、つねにくわんをんのみやうかうを、十へんつゝ、御となへあるヘきものなり。なむ大したいひくわんせをんほさつ菩薩 たのみてもなをかひありやくわんせをん ニ世あんらくのちかひきくにも |
| Number | [配置場所]貴重資料室/[登録番号1]大国2204/[登録番号2]文理7802 |

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