世界国尽 素本世界国尽 世界国尽素本 巻三

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Holder 広島大学
Title 世界国尽 素本世界国尽 世界国尽素本 巻三
Title pron. セカイ クニヅクシ ソホン セカイ クニヅクシ セカイ クニヅクシ ソホン
Author 福沢諭吉著(フクザワ ユキチ)
Publish year 1872, 明治5
Publisher 福沢諭吉
Publisher address 東京
Physical size 19cm, 50丁
Location 広島大学図書館
Collection 教科書コレクション
Description1 [時期]学制実施以前(往来物等) 江戸時代~1872(明治4年) [学科]地理(往来物), 旅, 観光などを含む [学校制度]往来物
Description2 [解題]学制の頒布により,日本の学校教育制度が整備されていく中で,学制の翌年である1873(明治6)年に制定された小学教則において使うことが例示された地理教科書である。本書は学校の教科書として作成されたものではなく,当時,啓蒙思想家としての地位を築きつつあった福澤諭吉による一般の書籍を小学校の教科書として活用することになった。本書は,『学問のすゝめ』に代表される福澤の数多くの著作の中でも最も広く世に出回ったと言われ,そのような当時のベストセラーが教科書に例示された点からも,創設間もない小学校の教育において地理教育は重要視されていたことが推察される。
本書の内容は,冒頭における「土地の風俗人情も所変われば品変わる。その様々を知らざるは,人の人たる甲斐もなし」に象徴されるように,これからの近代国家構築においては,福澤が嫌悪していた門閥制度のようなものが続いていくのではなく,自分の学びの努力次第で幸福が訪れることを説くために,そのような努力をしないものについての叱咤激励が貫かれている。また本書の中で「賢人と愚人との別は,学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり」と述べるように,福澤が世界の国や地域を描き解釈する大きな基準の一つが「学問」であるという点も一貫している。
福澤の世界観については,1885(明治18)年に『時事新報』に掲載された社説「脱亜論」を根拠に,特に戦後の長い間,どちらかと言えば負の評価がなされ続けてきているが,近年は若干の反証的な動向も確認されている。いずれにしても,本書で描かれた世界像形成のあり方は,福澤が実際に経験した門閥制度に縛られた狭い世界から,現実の広い世界を想像し続けて,ついに世界を実体験した上で,自らの解釈した世界像を創造して描いた過程とも重なるものとなっている。(解題執筆:永田 忠道)
参考文献
片上宗二・木村博一・永田忠道編. 混迷の時代!“社会科”はどこへ向かえばよいのか. 明治図書, 2011
教育史編纂会. 明治以降教育制度発達史. 教育資料調査会, 1938, (第一巻)
唐澤富太郎. 教科書の歴史. 創文社, 1956
Number [登録ID]2000301673 [スリップ番号]10464 [請求記号]教科書文庫/1/209/10-1872/2000301673